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「肌断食(はだだんじき)」は、化粧水やクリームなどのスキンケアを休むやり方の呼び名です。週末だけ休むような軽いやり方を指すこともあります(このサイトの2015年の記事でも、週末だけ休むやり方と毎日の宇津木式を分けて書いていました)。なかでもよく知られているのが、医師の宇津木龍一さんが著書で紹介した「宇津木式」で、この記事はそのやり方を扱います。
結論からいうと、宇津木式のやり方の芯は「水か石けんでこすらずに洗う」「化粧水やクリームをつけない」「ワセリンはごく少量」の3つです。一方で、日本皮膚科学会の手引きは、乾燥した肌には保湿剤を使い、とくにお風呂のあとに塗るよう書いています。試すなら、次の2つを先に決めておくと安心です。
- 乾燥がつらいときは、ワセリンを塗る範囲を広げるか、化粧水やクリームの保湿に戻す
- 赤み・かゆみ・ヒリヒリが続く、ニキビや湿疹が増えたときは、やめて皮膚科に相談する
アトピー性皮膚炎と言われたことがある人(今は落ち着いている人も)や、湿疹などで塗り薬を使っている人は、始める前に主治医に相談してください。このサイトで2015〜2017年に公開した実践の記録(始めてから5か月の経過・やめた理由・冬の乾燥)の要点も、後半にまとめました。
この記事の書籍・資料・商品の情報は、2026年10月23日に確かめた時点のものです。
宇津木式の肌断食のやり方(洗顔・化粧落とし・保湿・メイク)と、石けん・ワセリンの選び方
試す前に決めておきたいこと(やめる合図・先に主治医に相談したい人)
日本皮膚科学会の手引きにある乾燥した肌のケアと、肌断食と重なるところ・違うところ
実践の記録の要点:始めてから5か月の経過、2年でやめた理由、冬の乾燥
宇津木式のやり方を、本人の説明で確かめたい人には次の本があります。
肌断食(宇津木式)のやり方
宇津木さんは、乾燥肌や敏感肌が増えているのは化粧品とスキンケアのしすぎが原因だと考え、化粧水などをやめて肌を洗うだけにするやり方をすすめています(著者の考え。本を参考に試した記事より)。日本皮膚科学会の手引きには肌断食についての記述はありませんが、脱脂力の強い洗浄料やこすり洗いなどの合わないスキンケアを、乾燥の要因の1つに挙げています(下の節)。
やることは、洗顔・化粧落とし・保湿・メイクの4つに分けると分かりやすくなります。宇津木さんの本の副題にも「美肌には化粧水もクリームも必要ありません」(『「肌」の悩みがすべて消えるたった1つの方法』)、「石けんとワセリンだけでOK」(『化粧品を使わず美肌になる!』)とあり、スキンケアに使うのは石けんとワセリンだけです。
| 宇津木式のやり方 | |
|---|---|
| 洗顔 | 朝晩、水で、手でこすらずにそっと洗う |
| 落とし方 | 化粧はクレンジングや洗顔フォームを使わず、普通の石けんか、水・ぬるめのお湯でこすらずに落とす |
| 保湿 | 化粧水・乳液・クリームなどはつけない |
| メイク | 下地はワセリンをごく少量。粉タイプのファンデーションと最低限のポイントメイク |
出典:ライブドアニュース「【肌断食】“顔を洗う”だけ! 宇津木式「何もしない美容」を試したら、明日への希望が持てた」(2015年、『「肌」の悩みがすべて消えるたった1つの方法』を参考に試した記事)、国立国会図書館サーチ(宇津木龍一の著書)
編集部の補足:化粧は石けんで落とすので、メイク用品も石けんで落とせるものを選ぶと合わせやすくなります。乾燥する所にワセリンを少し塗るやり方は、このサイトの2015年の記録で使っていたもので、今回確かめた紹介記事には書かれていません。
石けんとワセリンの選び方
紹介記事では、化粧を落とすのは「普通の石けん」と書かれています。日本皮膚科学会と日本アレルギー学会のアトピー性皮膚炎のガイドラインは、洗浄剤に入っている色素や香料などの添加剤は肌への刺激になるおそれがあるとして、添加物をできるだけ少なくしたものを選ぶよう書いています。添加物を避けたいなら、成分の表示が「石ケン素地」だけの純石けんが見分けやすいでしょう。たとえばシャボン玉石けんの「化粧石けん シャボン玉浴用」は、成分の表示が「石ケン素地」だけです(販売店の成分表示)。同じガイドラインは、固形の石けんと液体の洗浄剤のどちらがよいかの根拠は無く、洗ったあとに乾燥が強いものは避ける、とも書いています。
ワセリンは、皮膚の表面を覆って水分が逃げるのを防ぐ保湿剤です。日本皮膚科学会の手引きは、こうした保湿剤を「エモリエント」と呼び、ワセリンを例に挙げています。ベタつきやすいので、顔にはごく少量を薄くのばして使います。
肌断食を試す前に決めておきたいこと
肌断食は、始める前に「どうなったら戻すか」を決めておくと続けやすくなります。
| 決めておくこと | |
|---|---|
| 相談 | 次の人は先に主治医に相談する:アトピー性皮膚炎と言われたことがある人(今は落ち着いている人も)、湿疹・脂漏性皮膚炎・乾癬などで塗り薬を使っている人、糖尿病・慢性腎臓病の人、抗がん剤の投与や放射線治療を受けている人 |
| 乾燥 | 乾燥がつらいときは、ワセリンを塗る範囲を広げるか、化粧水やクリームの保湿に戻す |
| 肌荒れ | 赤み・かゆみ・ヒリヒリが続く、ニキビや湿疹が増えたときは、やめて皮膚科に相談する |
| 始め方 | 一度に全部やめるか、朝の洗顔から水にするなど段階を踏むかを決めておく |
| 紫外線 | 肌断食中も対策を続ける(下のよくある質問) |
糖尿病・慢性腎臓病、抗がん剤の投与や放射線治療などは、日本皮膚科学会の手引きが、肌の乾燥を起こしうる病気や治療として挙げているものです(手引きの「皮膚が乾燥する要因」と表9)。
日本皮膚科学会の手引きでは、乾燥した肌のケアはどう書かれている?
日本皮膚科学会の「皮脂欠乏症診療の手引き2021」は、皮脂欠乏症(乾皮症とも呼ばれ、肌の乾燥を病気として扱うときの名前)の手引きです。皮脂欠乏症は体(とくにすね)に起こりやすく、皮脂や汗の多い顔には起こりにくいとも書かれています。顔のスキンケアのやり方を決める資料ではありませんが、乾燥したときの考え方は参考になります。
手引きは、肌が乾燥する要因として、年齢、冬の外気や暖房による湿度の低さ、紫外線、お風呂に入りすぎること、脱脂力の強い洗浄料やこすり洗いを挙げています。一時的で軽い乾燥なら、病院で出す保湿剤までは要らないこともあり、市販の医薬品・医薬部外品・化粧品の保湿剤を使いながら、加湿や洗い方を見直すことが大切だとしています。お風呂のあとは、すぐでなくてもよいので保湿剤を塗るよう書いています。
| 宇津木式 | 手引き | |
|---|---|---|
| 洗顔 | こすらない。水か石けん | こすり洗い・ナイロンタオルは避け、泡で優しく |
| 保湿 | 化粧水・クリームはつけない。ワセリンはごく少量 | 保湿剤を塗る。1日1回より2回のほうが効果を期待できる |
| 冬 | (今回確かめた紹介記事に記載なし) | 暖房で湿度が下がるので、加湿器などで対策する |
| 紫外線 | (今回確かめた紹介記事に記載なし) | 5〜8月は、昼前後の外出で帽子や日陰。長く外にいるときは日焼け止め |
出典:日本皮膚科学会「皮脂欠乏症診療の手引き2021」(日皮会誌 131巻10号)
「こすらない」「洗いすぎない」は両方に共通しています。違うのは乾燥したときの保湿で、手引きは軽い乾燥でも市販の保湿剤を使い、1日2回塗るほうが効果を期待できるとしています。肌断食はワセリンをごく少量です。
日本皮膚科学会と日本アレルギー学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」は、保湿剤の外用を推奨度1ですすめ、皮膚炎が落ち着いたあとも続けることをすすめています(CQ24)。
自分の判断で塗り薬や保湿をやめて肌断食を始めず、主治医に相談してください。出典:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024(日皮会誌 134巻11号)
肌断食の経過:始めてから5か月の記録
このサイトでは、2015年に宇津木式の肌断食を始めた記録を公開していました。当時の運営者による、乾燥肌で洗顔するとすぐつっぱるタイプの人の記録です。1人の記録なので、同じ経過になるとは限りません。慣れるまでの日数の目安は、今回確かめた資料には書かれていませんでした。
| 時期 | 記録に書いていたこと |
|---|---|
| 1日目 | 洗顔のあと5分ほどでつっぱり、話すと肌がピリピリした。鼻の下のカサカサに白色ワセリンを塗って過ごした |
| 3〜7日目 | 顔に粉がふき、口の下に大きなニキビができた。ヒリヒリして、マスクなしでは外出できないほどだった |
| 1か月 | ワセリンを塗らずに過ごせるようになった一方、あごの皮むけ・ざらつきとニキビは残っていた。メイクは石けんで落とせるミネラルファンデーションに替えた |
| 2か月 | 口のまわりのカサカサは残っていた。口の下にできたニキビは跡になった |
| 5か月 | お風呂上がりにつっぱらず、ワセリンを使わなくなったと書いていた(本人の感じ方) |
当時の記録では、最初の数日の悪化を「好転反応」と書いていましたが、そう呼べる根拠は確かめられません。乾燥がつらいときや肌荒れが続くときの目安は、「肌断食を試す前に決めておきたいこと」の表のとおりです。
メイクを石けんで落とせるものにする場合は、ミネラルファンデーションを試した記事も参考になります。
肌断食をやめた理由:2年目の冬
この記録は、約2年続けたところで肌断食をやめています。やめた理由として書いていたのは次の2つです。
- 冬の乾燥:冬になると口のまわりの皮がむけ、ヒリヒリするほど乾燥した。ワセリンを塗っても追いつかず、2年目の冬も同じだったので、毎年続くと考えてやめた
- シミが濃く見えた:2年目の冬に、頬のシミが濃くなった・増えたと感じた。紫外線対策は続けていたので「やっぱり肌断食が原因か」と思わずにいられなかった、と書いていた。1人の記録からは、原因かどうかは分からない
やめたあとは化粧水を使うスキンケアに戻し、乾燥がつらい状態は落ち着いたと書いています。肌断食は「一度始めたら続けなければいけないもの」ではありません。季節や肌の様子を見て、保湿に戻すのも1つの選び方です。
保湿に戻すときの選び方
日本皮膚科学会の手引きは、市販の保湿剤にはいろいろな種類があり、効果を比べた根拠が無いので、使い心地がよく、安心して続けられるものを選ぶのが大事だとしています。
保湿に戻すときは、一度にたくさん足さず、化粧水か保湿クリームの1品から始めると、肌に合わないものがあったときに分かりやすくなります。成分の見方は セラミド化粧水の選び方 と インナードライ肌の化粧水の選び方 にまとめています。
使い心地は試さないと分からないので、化粧水とクリームを少量のセットから試す方法もあります。
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冬の肌断食は乾燥に気をつける
肌断食を始めた年の秋の記録では、調子はよいものの、冬にどうなるかが少し不安だと書いていました。そして実際に、乾燥がつらくなったのは冬でした。日本皮膚科学会の手引きも、冬は暖房で部屋の湿度が下がり、肌が乾燥しやすくなると書いています。
冬に肌断食を続けるなら、次のことを先に決めておくと慌てずに済みます。
- 部屋の湿度:加湿器などで、暖房で乾いた部屋の湿度を保つ
- お風呂:長風呂や洗いすぎを避け、ナイロンタオルでこすらない
- 戻す目安:試す前に決めた目安(乾燥がつらければ保湿に戻す・肌荒れが続けば皮膚科へ)のとおりにする
同じ秋の記録には、始めたばかりのカサカサに冬の乾燥が重なっていたら断念していたと思う、始めるなら春先がおすすめ、とも書いていました。これから始めるなら、始めた直後の乾燥と冬の乾燥が重ならない時期を選ぶのも1つの手です。
肌断食のよくある質問
-
肌断食に効果はありますか?
今回調べた範囲では、肌断食の効果を確かめた公的な機関の資料は見当たりませんでした。日本皮膚科学会の手引きにも、肌断食についての評価はありません。すすめる側の『化粧品とスキンケアのしすぎが乾燥肌・敏感肌の原因』という説明は、宇津木さんの著者としての考えです。
-
肌断食をすると老けますか?
肌断食で老けるかどうかを確かめた、公的な機関の資料は今回調べた範囲では見当たりませんでした。ただ、乾燥が進むと、肌がかさついて粉をふく・細かくひび割れる・かゆくなることがあります(日本皮膚科学会の手引き)。乾燥がつらいときは無理に続けず、保湿に戻すのも選び方の1つです。
-
ワセリンは顔のどこに塗ればいいですか?
今回確かめた紹介記事では、ワセリンは化粧下地にごく少量使うとだけ書かれています。このサイトの2015年の記録では、鼻の下や口のまわりなど乾燥する所にも塗っていて、かゆくてつい多めに塗ってしまったとも書いていました。ワセリンは皮膚を覆って水分が逃げるのを防ぐタイプの保湿剤で、ベタつきやすいので、量を減らして薄くのばすと使いやすくなります。
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洗顔用の石けんならどれでもいいですか?
紹介記事では「普通の石けん」と書かれています。洗顔石けんには保湿の成分や香料を加えたものもあるので、添加物を避けたいなら成分の表示を見て選びます。よく比べられる牛乳石鹸の違いは 牛乳石鹸の赤箱と青箱の違い にまとめています。
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肌断食中に日焼け止めは塗っていいですか?
宇津木式での日焼け止めの扱いは、今回確かめた紹介記事には書かれていません。日本皮膚科学会の手引きは、紫外線の強い5〜8月、とくに10〜14時ごろの外出では帽子や日陰を使い、長く外にいるときは日焼け止めを使うようすすめています。使うなら、石けんで落とせるものが肌断食の洗い方と合わせやすいでしょう。塗る量と塗り直しは 日焼け止めの正しい塗り方 にまとめています。
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