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アゼライン酸は、小麦やライ麦などの穀類や酵母に含まれる「飽和ジカルボン酸」という酸の一種です。アメリカでは15%のゲルが酒さ(しゅさ)、20%のクリームがにきびの医薬品として承認されていますが、日本では医薬品としては未承認で、ドラッグストアや通販で買えるのは化粧品です。
化粧品で選ぶときに見るのは、①全成分表示に「アゼライン酸」と書いてあるか、②配合量(%)をメーカーが出しているか、③使い方と注意書きの3つ。使い始めは少ない量・少ない回数からにして、ヒリヒリ・赤み・かゆみが出たら使うのをやめて皮膚科で相談してください。
SNS で「アゼライン酸」をよく見かけるようになったので、どんな成分なのかを調べてまとめました。使ってみた感想ではありません。米国の医薬品の添付文書、日本皮膚科学会のガイドライン、厚生労働省の通知、日本化粧品工業会の資料と、メーカーの公式サイトの記載(参照日:2026年10月13日)だけで書いています。
この記事で表示を比べている市販のアゼライン酸の化粧品のうち、日本製の「キソ バランシングエッセンスAZ15」と、韓国の「Anua アゼライン酸15 インテンスカーミングセラム」(どちらもアゼライン酸15%)はこちらです。ほかの商品と表示の比べ方は、記事の後半の「市販で買えるアゼライン酸の化粧品」で、メーカーの公式の記載だけを並べています。
アゼライン酸とは?穀類にも含まれる酸の一種
アゼライン酸は、穀類や酵母に含まれる飽和ジカルボン酸です(日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」)。海外では医薬品の有効成分として、日本では化粧品の成分として使われています。同じ名前でも、国によって扱いがまったく違います。
| 国・区分 | 形と濃度 | 使われ方(公的な記載) |
|---|---|---|
| アメリカ・医薬品 | ゲル 15%(FINACEA) | 軽症〜中等症の酒さの、炎症性の丘疹・膿疱の外用治療 |
| アメリカ・医薬品 | クリーム 20%(AZELEX) | 軽症〜中等症の炎症性のにきび(尋常性ざ瘡)の外用治療 |
| 日本 | 医薬品としては未承認 | 化粧品の成分の一つとして市販されている。皮膚科で使うときは保険適用外 |
日本皮膚科学会のガイドラインは、にきびの面皰(めんぽう)・炎症性皮疹にアゼライン酸の外用を「選択肢の一つとして推奨する(推奨度 C1)」としたうえで、「保険適用外であることに配慮する必要がある」「本邦では化粧品の含有成分の一つであり,医薬品としては未承認である」と書いています。酒皶(丘疹膿疱型)についても推奨度は C1 で、日本でのエビデンスが乏しいとしています。
つまり、海外の医薬品の話と、日本で売られている化粧品の話は分けて読む必要があります。化粧品が言えるのは「肌を整える」「皮膚をすこやかに保つ」など、厚生労働省が決めた化粧品の効能の範囲(56項目)までです。東京都の広告の基準の資料も、化粧品の表現で「ニキビを何とかしたい!」を不適切な例に挙げています。
なぜ今、アゼライン酸をよく見かける?
いちばん大きいのは、海外では医薬品に使われている成分が、日本では化粧品として手に入るという分かりやすさだと思います。「アゼライン酸」の検索は月に約4万6千回(Ahrefs、日本、2026年10月)あり、「アゼライン酸 美容液」も約9,600回と、商品を探す人が多い言葉です。
2026年10月13日に Google で検索すると、通販の欄には「15」「20」など、配合量の数字を商品名に入れた美容液・クリームが並んでいました。ただし、化粧品の%と、医薬品の15%・20%は同じ物差しではありません。化粧品は配合量を書く決まりが無く、書いてあっても、医薬品のように効き目と安全性を国が審査した数字ではないからです。次の章で、表示のどこを見ればよいかを整理します。
化粧品で選ぶときに見る3つのところ
化粧品のアゼライン酸は、全成分表示・配合量の書き方・使い方と注意書きの3つで選びます。成分の名前だけで選ぶと、ほとんど入っていない商品と、たくさん入っている商品の区別がつきません。

1. 全成分表示に「アゼライン酸」と書いてあるか
化粧品の箱や公式サイトの全成分表示は、配合量の多い順に書く決まりです。ただし1%以下の成分は順不同でよいことになっています(厚生労働省の通知、平成13年3月6日 医薬審発第163号)。
- 「アゼライン酸」が水やBGなどのすぐ後ろ、前のほうにある:多めに入っている目安になる
- 後ろのほうにある:1%以下の成分の中にあると、並び順からは量が分からない
- 「アゼロイルジグリシンK」と書いてある:アゼライン酸とグリシンを結びつけた別の成分(化粧品の表示名称が違う)
「アゼロイルジグリシンK」は、日本化粧品工業会の成分表示名称リストでは「アゼライン酸とグリシンとのジアミドのカリウム塩」と定義されていて、アゼライン酸そのものではありません。「アゼライン酸配合」とうたう商品でも、どちらが入っているかは全成分表示で確かめます。
2. 配合量(%)をメーカーが出しているか
全成分表示で決まっているのは、成分の名前と並び順だけです。配合量(%)を書く決まりはありません。商品名や公式サイトに%を出している商品もあれば、出していない商品もあります。
%を出している商品どうしなら比べやすくなりますが、数字が大きいほど自分に合うとは限りません。米国の15%のゲルの添付文書では、副作用として灼熱感・ヒリヒリ・チクチク感が29%、かゆみが11%の人に出ています(医薬品の試験の数字)。初めて使うなら、低めの%の商品から、という選び方もあります。
3. 使い方と注意書きが、今のスキンケアに入るか
公式サイトの「使い方」と「使用上の注意」も、買う前に読んでおきます。見るのは次の4つです。
- 使う時間(朝・夜・朝晩)と、1回の量
- スキンケアのどの順番で使うか(化粧水の後か、クリームの前か)
- ほかの成分(レチノール・ピーリングなど)と一緒に使うときの注意
- 妊娠中・授乳中、敏感肌の人への注意
子育て中は、夜のスキンケアに何分かけられるかも大事です。手順が1つ増えるだけで続かなくなるなら、今使っている美容液の代わりに1本入れる、という選び方のほうが続けやすいと思います。
市販で買えるアゼライン酸の化粧品(公式の記載で比べる)
通販で買えるアゼライン酸の化粧品から、メーカーが全成分と使い方を公式に出している4つのブランド(5商品)を選び、表示の違いを並べました。効き目の比べ合いではありません。価格は2026年10月13日に公式サイト・公式ストアで見た税込の価格で、セールや送料で変わります。
| 商品(メーカー) | 区分・つくり | 全成分での位置と% | 容量・価格(税込) |
|---|---|---|---|
| キソ バランシングクリームAZ(基礎化粧品研究所) | 化粧品・日本製のクリーム | 2番目・15% | 20g・2,148円 |
| キソ バランシングエッセンスAZ15(基礎化粧品研究所) | 化粧品・日本製の美容液 | 2番目・15% | 30mL・2,280円 |
| Anua アゼライン酸15 インテンスカーミングセラム | 化粧品・韓国製の美容液 | 3番目・15% | 30mL・2,950円 |
| Cos De BAHA AZアゼライン酸10美容液 | 化粧品・韓国製の美容液 | 3番目・10% | 30mL・2,290円 |
| ダーマセプトRX AZAセラム(ロート製薬) | 化粧品・クリーム状のセラム | 2番目・%は出していない | 15g・4,950円 |
キソ バランシングクリームAZ/エッセンスAZ15(日本製・15%)
基礎化粧品研究所(KISO)のシリーズで、全成分は「水、アゼライン酸、…」とアゼライン酸が2番目、商品名と公式サイトに配合量が出ています。クリームAZ・エッセンスAZ15が15%、同じシリーズのクリームAZ2・エッセンスAZ20は20%です。
- クリーム:朝晩、化粧水などで肌を整えたあと、気になる部分になじませる(スキンケアの最後に使う)
- エッセンス:化粧水の後に3〜4滴、朝・夜に使える
- 同じシリーズの「バランシングエッセンス AZ(No.053)」は「アゼライン酸誘導体15%」で、アゼライン酸そのものではない。名前が似ているので買うときに番号を見る
20%のクリームAZ2・エッセンスAZ20も含めて探すなら、楽天市場には基礎化粧品研究所の公式ショップがあります。楽天市場で探す / Amazonで探す
Anua アゼライン酸15 インテンスカーミングセラム(韓国製・15%)
韓国のブランド Anua の美容液で、全成分は「水、PG、アゼライン酸、…」と3番目。商品の説明に「アゼライン酸 含有量 15%」とあり、ツボクサエキス・グリチルリチン酸2K・サリチル酸なども入っています。
- 使い方:化粧水の後に2〜3スポイトを顔全体に。朝晩使え、朝は日焼け止めを
- 刺激を感じるときは、2日に1回にするなど回数を減らすよう案内している
- 楽天市場の公式店(運営は THE FOUNDERS INC.)は、韓国から届く個人輸入の扱い
Cos De BAHA AZアゼライン酸10美容液(韓国製・10%)
全成分は「アロエベラ葉エキス、PG、アゼライン酸(10%)、…」と3番目で、ここに並べた中では%がいちばん低い商品です。ナイアシンアミドも入っています。
- 使い方:初めて使う人は夜だけ、1〜2滴から。慣れたら朝夜に(朝は日焼け止め)
- 4〜5日ごとに1〜2日休ませる、サリチル酸・AHA/BHA・高濃度のビタミンC・ハイドロキノンとは一緒に使わない、と案内している
- 日本向けの公式ストア・楽天市場の公式店とも韓国から発送(楽天は個人輸入の扱い)
ダーマセプトRX AZAセラム(ロート製薬・%は出していない)
ロート製薬の化粧品で、全成分は「水、アゼライン酸、BG、…」と2番目。配合量は「高濃度(自社内比較)」とだけ書かれていて、%は出していません。朝晩、化粧水などの後に気になる部分へパール粒大を1つ。初めて使うときは3日間のユーステストをするよう案内しています。ロート製薬のオンラインショップだけで売っている商品です(ロート製薬の商品ページ)。
「DRX AZAクリア」(ロート製薬)は病院・クリニック専売の化粧品で、買うには医療機関で診察・カウンセリングを受ける必要があります。
※商品の情報は、基礎化粧品研究所・ANUA Official 楽天市場店・Cos De BAHA の日本向け公式ストア・ロート製薬の公式サイトの記載(参照日:2026年10月13日)。Amazon・楽天の検索結果には公式以外のお店も出るので、販売元を確かめてから選んでください。
アゼライン酸の使い方(順番・量・始め方)
美容液タイプは化粧水の後、クリームタイプはスキンケアの最後に使うものが多く、量と回数は商品の使い方に合わせます。メーカーも「初めて使う方は夜のみ」(コスデバハ)、「3日間のユーステスト」(ロート製薬)と案内していて、少ない量・少ない回数から始めるのが基本です。
- 洗顔のあと、化粧水で肌を整える
- 美容液タイプなら、商品の使い方にある量(2〜3スポイト、1〜2滴など)を顔になじませる。最初は少なめ・夜だけなど回数を減らして
- 乳液・クリームで保湿する。アゼライン酸のクリームなら、それを最後に気になる部分へ
- 朝に使ったときは、日焼け止めを塗る(どの成分を使っていても、日中のスキンケアの最後は日焼け止め)
日焼け止めの塗る量と塗り直しは、日焼け止めの正しい塗り方にまとめています。
レチノール・ナイアシンアミドなどと合わせるとき
新しい成分は1つずつ始めます。アゼライン酸とレチノールを同じ週に始めると、ヒリヒリしたときにどちらが原因か分からなくなるからです。1つを使い始めて、肌に問題が出ないのを確かめてから次を足すほうが安心です。
併用してよいかは、商品ごとの注意書きがいちばん確かです。「同時に使わない」「時間をずらす」と書いてあれば、それに従ってください。レチノールやピーリングなどと重ねるときは、使う日や朝・夜を分けると、肌の反応を見分けやすくなります。
注意点:ヒリヒリ・赤み・かゆみが出たら
異常を感じたら、使うのをやめて皮膚科で相談します。「慣れれば治まる」と自分で決めて使い続けないことが大事です。
日本化粧品工業会の自主基準では、化粧品の使用上の注意として、次のような文が記載例に挙げられています。
お肌に異常が生じていないかよく注意して使用してください。使用中、赤味、はれ、かゆみ、刺激、色抜け(白斑等)や黒ずみ等の異常があらわれた場合は、使用を中止し、皮膚科専門医等にご相談されることをおすすめします。
出典:日本化粧品工業連合会(現・日本化粧品工業会)「化粧品の使用上の注意表示に関する自主基準」(2016年12月1日)の記載例をもとに、本文用に1文にまとめた
医薬品の15%のゲルでも、いちばん多い副作用は灼熱感・ヒリヒリ・チクチク感で、次がかゆみ、皮むけ・乾燥、赤み・刺激です(米国の添付文書)。化粧品でも、肌が弱っているときや、ほかの成分を重ねたときは、こうした刺激に気をつけたいところです。
- にきびや顔の赤みが続くとき:化粧品で様子を見続けず、皮膚科へ。にきびも酒さも、日本皮膚科学会の治療ガイドラインがある皮膚の病気です
- 妊娠中・授乳中:米国の15%のゲルの添付文書は、塗った成分が体に入る量はわずかとしています。ただしこれは医薬品の記載で、化粧品はほかの成分も入っています。商品の注意書きを読み、迷うときは使う前に産婦人科・皮膚科で相談してください
- 使い始めに肌荒れが出たとき:原因は人によって違い、記事では判断できません。続けるか迷うときは、使うのをやめて皮膚科で見てもらってください
赤みが出たときに「好転反応」と決めつけない考え方は、ハイドロキノンで赤くなったときに確認したいことも参考になります。
アゼライン酸のよくある質問
-
アゼライン酸は何%がいいですか?
化粧品には配合量(%)を書く決まりが無く、「何%なら確実」という公的な目安はありません。米国の医薬品は酒さ用のゲルが15%、にきび用のクリームが20%ですが、化粧品の%とは同じ物差しではありません。初めてなら、%を出している商品の中で低めのものから、少ない量で始めると肌の反応を見やすくなります。
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アゼライン酸はスキンケアのどの順番で使いますか?朝と夜どちらですか?
美容液タイプは化粧水の後、クリームタイプはスキンケアの最後に使う商品が多いです。朝晩使える商品もあれば、「初めては夜だけ」と案内する商品もあるので、商品の使い方に従ってください。朝に使うときは、最後に日焼け止めを塗ります。
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妊娠中・授乳中でも使えますか?
米国の15%のゲル(医薬品)の添付文書は、塗った成分が体に入る量はわずかとしていますが、化粧品はほかの成分も入っていて、商品によって注意書きが違います(記載が無い商品もあります)。商品の注意書きを読み、迷うときは使う前に産婦人科・皮膚科で相談してください。
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使い始めてから白ニキビが増えたのはなぜですか?
原因は肌の状態・ほかのスキンケア・商品の成分などで人によって違い、記事では判断できません。「好転反応」と決めつけて使い続けず、いったん使うのをやめて皮膚科で相談してください。
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レチノールやナイアシンアミドと一緒に使えますか?
商品ごとの注意書きに従うのが確かです。新しい成分は1つずつ始め、肌に問題が出ないのを確かめてから次を足すと、刺激が出たときに原因を見分けやすくなります。
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日本の皮膚科でアゼライン酸を処方してもらえますか?
日本ではアゼライン酸は医薬品として未承認で、日本皮膚科学会のガイドラインも「保険適用外であることに配慮する必要がある」としています。扱いは医療機関によって違うので、受診する皮膚科に確かめてください。
まとめ:アゼライン酸は「表示を読んで、少しずつ」
アゼライン酸は、海外では医薬品、日本では化粧品の成分です。化粧品で選ぶときは、全成分表示で「アゼライン酸」の位置を見て、%を出しているかを確かめ、使い方と注意書きを読んでから、少ない量で始めます。刺激が出たら使うのをやめて、皮膚科で相談してください。
ほかの話題の成分は、PDRNとは?美容液の選び方と注意点にまとめています。シミのケアを考えている人は、先にシミの種類の見分け方も読んでみてください。ナイアシンアミドの記事も準備しています。
参考にした資料(参照日:2026年10月13日)
- 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」(日皮会誌 133(3):407-450)(CQ35・酒皶の CQ S2)
- 米国 FDA「FINACEA (azelaic acid) Gel, 15%」添付文書(2021年11月改訂)
- 米国 DailyMed「AZELEX (azelaic acid) cream 20%」
- 厚生労働省「化粧品の全成分表示の表示方法等について」(平成13年3月6日 医薬審発第163号・医薬監麻発第220号。岡山県の掲載)
- 日本化粧品工業会「化粧品の成分表示名称リスト」(アゼライン酸・アゼロイルジグリシンK)
- 日本化粧品工業連合会「化粧品の使用上の注意表示に関する自主基準」(2016年12月1日)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 東京都保健医療局「医薬品等適正広告基準について」

