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テレビで「若返り成分」として紹介されることが増えてきたセレノネイン。2026年9月27日のフジテレビ「Mr.サンデー」では、マグロの町として知られる神奈川県三浦市三崎の「血合い」と、セレノネインの研究が取り上げられました。
結論からいうと、セレノネインはマグロやサバなど回遊魚の血合い(背と腹の間の赤黒い部分)や血液に多い、セレンを含む抗酸化成分です。2010年に日本の研究者がクロマグロの血液から見つけました。人の報告は主に、血合いを食べると血液中のセレノネインが増え、活性酸素を消す力の検査値が良い方に動いたというもので、肌や見た目が若くなることを確かめた試験は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。毎日の献立で取り入れるなら、マグロやカツオの血合いを残さず食べる、サバ缶やツナ缶を汁ごと使う、が手軽です。妊娠中は、マグロの種類によって食べる量の目安があります(気をつけたいこと)。
この記事で紹介した研究・番組・商品の情報は、2026年10月28日に確かめた時点のものです。
セレノネインとは何か、テレビの「ビタミンEの◯倍」は何と比べた数字か
研究でわかっていること・まだわかっていないこと(試験管・動物・人)
多い魚と部位、ツナ缶・サバ缶の量と、献立での取り入れ方。妊娠中の注意
家で手軽に取り入れるなら、汁ごと料理に使えるサバの水煮缶が便利です。サバは、妊娠中の水銀の注意事項の表に入っていない魚です。缶詰の量は「多い魚と部位」にまとめました。枠のボタンは、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングの検索結果に移ります。
セレノネインとは?
セレノネインは、セレン(ミネラルの一種)を含む抗酸化成分で、2010年に水産総合研究センター(今の水産研究・教育機構)の山下由美子さん・山下倫明さんが、クロマグロの血液から見つけて名前を付けました。きのこなどで知られる抗酸化成分エルゴチオネインとよく似た形で、硫黄の部分がセレンに置き換わっています(山下ら、2010年)。
| わかっていること | |
|---|---|
| 見つかった年 | 2010年(論文の発表) |
| 見つけた所 | 水産総合研究センター(今の水産研究・教育機構) |
| 多い所 | マグロ・カジキ・サバなど回遊魚の血液と血合い |
| 形 | エルゴチオネインの硫黄がセレンに置き換わった形 |
| ミネラルのセレンとの関係 | セレンを含む成分の1つ。セレンのサプリ(セレノメチオニンなど)とは別のもの |
テレビで「若返り成分」と言われるのはなぜ?
強い抗酸化の力が注目され、番組では「若々しさのカギ」「老化は遅らせられる?」といったテーマで紹介されています。取り上げた主な番組は次のとおりです(題と紹介文は、公式のページ・公式の動画・TVer の番組説明の記載です)。
- 日本テレビ「カズレーザーと学ぶ。」(2024年10月8日):「0円食材で美肌・脂肪燃焼・若返り成分」の回。番組説明は「マグロの○○にビタミンEの500倍の超強力な抗酸化物質が!」(TVer の番組説明。配信は終了)
- BSテレ東「いまからサイエンス」(2026年8月12日):「老化は遅らせられる?すぐ手に入る!マグロの血合いを解明!」。聖マリアンナ医科大学の遊道和雄教授が出演(番組ページ)
- フジテレビ「Mr.サンデー」(2026年9月27日):「若返る?“最強の野菜”&“奇跡の食材”」の特集で、三浦市三崎の血合いと水産研究・教育機構の研究を紹介(公式の動画)
- テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」(2026年10月15日):疲れをとる新常識の回で、セレノネインに関する情報が放送された(原料会社のお知らせ・番組の配信ページ)
番組の紹介文には「ビタミンEの400倍」(BSテレ東)や「500倍」(カズレーザーと学ぶ。の番組説明)という言葉が出てきます。もとになっているのは2010年の論文の試験管の実験で、DPPHという合成の物質を半分消すのに要る濃度を比べたものです。水産研究・教育機構の研究者の解説では、水溶性のビタミンE(Trolox)の約460倍、エルゴチオネインの約890倍とされ、同じ解説は、この物質は体の中にあるものではないと断っています(世古、2026年)。体の中でも同じだけ強く働く、という意味の数字ではありません。
「Mr.サンデー」では、血合いをよく食べる三崎の元気な高齢の方々も紹介されました。ただ、元気の理由は食事のほかにもたくさんあるため、番組の場面から血合いの働きを読み取ることはできません。研究で確かめられている範囲は、次の節で整理します。
研究でわかっていること・まだわかっていないこと
試験管・細胞・動物では抗酸化などの報告があり、人の報告は主に「血合いを食べると血液の検査値が変わった」というものです。肌や見た目、老化そのものを人で確かめた試験は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。研究者自身も、解説の中で「様々な機能性が期待される一方でその研究は十分に進んでいない」と書いています(世古、2025年)。

| 段階 | 報告されていること(出典) |
|---|---|
| 試験管 | 抗酸化の強さ(DPPH試験)が水溶性ビタミンEの約460倍・エルゴチオネインの約890倍(山下ら・世古) |
| 細胞 | メラニンを作るよう促したヒトの皮膚の細胞で、メラニンがたまるのを抑えた(水産総合研究センター) |
| 細胞・魚の胚 | メチル水銀の排出を早めた(Yamashitaら、2013年)。一方、試験管で水銀の無毒化には関わらないとする報告もある(Ananら、2011年) |
| マウス | 脂肪肝のマウスで肝臓の中性脂肪が減った(2020年)、マグロの血合いの抽出物で大腸の腫瘍ができる割合が下がった(2018年)、サバを分解した粉(セレノネインを含む)で運動後の活動量の落ち込みが小さかった(2023年) |
| 人(血液) | 健康な20〜60代の100人を対象にした試験で、血合いを食べると血液中のセレノネインが増え、活性酸素を消す力の検査値が良い方に動いた(神奈川県の発表。下で説明) |
| 人(運動選手) | 18〜21歳の男性の長距離選手24人が、血合いか赤身を週3回・4週間食べた学会の発表。休息の少なかった9人のうち、血合いの組(4人)だけで、体の組成と血液のアミノ酸に変化が見られたという報告(少人数・要旨だけ。総合健診 2026年) |
動物の試験には、セレノネインだけでなく、それを含む抽出物・分解物を使ったものがあります。
人の試験:マグロの赤身と血合いを食べ比べた100人
神奈川県水産技術センター・水産研究・教育機構・聖マリアンナ医科大学が、マグロを続けて食べたときの体の変化を人で調べています。神奈川県が公開している内容は次のとおりです(神奈川県「研究内容の紹介(水産技術センター)」)。
| 項目 | 神奈川県の発表 |
|---|---|
| 対象 | 健康な20〜60代の男女100人(県と大学の職員) |
| 食べ方 | メバチの赤身を1回0g(比べる組)・80g・120g、週3回・3週間。3週間あけて、血合いを同じように |
| 血液中のセレノネイン | 赤身ではわずかに増えた程度、血合いでは大きく増え、食べた量に応じて上がった |
| 活性酸素を消す力の検査 (OXY吸着テスト) | 血合いを食べる前に「正常」だった人は34.4%、食べたあとは75.6% |
| サーチュイン2 | 平均1.1〜1.2倍。赤身と血合いの差はほとんど無かった |
同時に測った酸化ストレスの検査(d-ROMs)・抗酸化力の検査(BAP)と、比べる組(0g)の結果は、県のページには載っていません。
見ているのは血液の検査値の変化です。結果は県のページで公開され、学会でも発表されています。論文として発表されたものは、今回調べた範囲では見つかりませんでした。水産研究・教育機構の研究者は、マグロの血合いを食べたときの働きを人で明らかにする臨床研究を進めていると書き(世古、2026年)、神奈川県は、聖マリアンナ医科大学で美肌効果などを調べるとしています。
セレノネインが多い魚と部位
セレノネインは、マグロ・カジキ・サバなどの血合いに多く、赤身には少なめです。同じ天然クロマグロで比べると、血合いは赤身の約50倍でした。缶詰からも見つかっていて、ツナ缶・サバ缶では、身より汁のほうが少し多く含まれていました。

下の表は、図に入れなかった値も含めた一覧です。日本食品分析センターと水産研究・教育機構の研究者が、同じ方法で測りました(Matsumotoら、2025年の表7)。単位は、1kgあたりのセレノネインを、含まれるセレンの量(mg)に換算したもので、数字が大きいほど多く含まれます。
| 食べもの | 量 (mg/kg) |
|---|---|
| 天然クロマグロの血合い | 7.82 |
| 天然クロマグロの赤身 | 0.15 |
| 養殖クロマグロの赤身 | 0.11 |
| キハダ | 0.26 |
| マサバ | 0.17 |
| メカジキ | 0.17 |
| カツオ | 0.11 |
| ツナ缶(キハダ)の身/汁 | 0.24/0.27 |
| サバ缶の身/汁 | 0.24/0.30 |
| サバの削り節 | 0.38 |
| カツオの削り節 | 0.97 |
キハダ・マサバ・メカジキ・カツオは、表7では部位の記載がありません。同じ論文で抽出の条件を比べた表2〜4には、キハダの血合い6.0〜8.7、メカジキの血合い4.1〜5.2、カツオの血合い2.0〜3.5という値があります(条件が違うので上の表には並べていません)。生の魚と缶詰は別々の試料で、缶詰にすると増えるという意味ではありません。削り節は乾物なので、1回に食べる量で比べると少なくなります。
毎日の献立での取り入れ方
1日にどれだけとればよいかの目安は、国の基準にも研究にも見当たりません。献立では「血合いを残さない」「缶詰は汁ごと」の2つが手軽です。
- マグロやカツオの血合いを残さない:さくや切り身に付いている赤黒い部分が血合いです。三浦では三浦商工会議所などが2024年に名前を一般公募し、10月に血合いの新しい名前を「茜身(あかねみ)」と発表して、料理として広めています(日本商工会議所の記事)。「Mr.サンデー」では、地元の人が衣をつけて揚げる・串カツにするなど、加熱して味をつける食べ方を紹介していました
- ツナ缶・サバ缶は汁ごと使う:セレノネインは水に溶けて汁に移ります。論文は、削り節からも見つかったことから、100℃ほどの加熱では壊れないと見ています(Matsumotoら、2025年)。汁ごと味噌汁・スープ・炊き込みご飯に入れると、汁に出た分も食べられます
- 魚の種類を回す:マグロだけでなく、サバ・カツオ・カジキなどを週の献立で回します。妊娠中は、マグロやカジキの種類によって量の目安があります(次の節)
汁ごと使える缶詰は、サバ缶のほかにツナ缶も手軽です。ツナ缶は、妊娠中の注意事項で「通常の食べ方で差し支えない」とされている食べものです。
魚の脂と同じオメガ3の油については、えごま油の1日の目安ととりすぎの注意でも触れています。
気をつけたいこと
妊娠中はマグロの種類と量、サプリでセレンを足すときはとりすぎに気をつけます。
妊娠中は、マグロの種類によって量の目安がある
厚生労働省は、魚に含まれる水銀がおなかの赤ちゃんに影響しないよう、妊娠中の人に向けて魚の種類ごとの目安を出しています。表は身(筋肉)の量の目安で、血合いを分けた目安はありません。
| 魚 | 妊娠中の目安(厚生労働省) |
|---|---|
| クロマグロ(本マグロ)・メバチ・メカジキ・キンメダイ など | 1回約80gとして週に1回まで |
| ミナミマグロ(インドマグロ)・マカジキ・キダイ など | 1回約80gとして週に2回まで |
| キハダ・ビンナガ・メジマグロ(クロマグロの幼魚)・ツナ缶 | 通常の食べ方で差し支えない |
「週に1回」の魚を同じ週に2種類・3種類食べるときは、それぞれの量を2分の1・3分の1にし、「週に1回」と「週に2回」の魚を同じ週に食べるときは、それぞれ2分の1にします。ある週に食べ過ぎたら、次の週に減らすよう書かれています。
出典:厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」(平成22年6月1日改訂)。刺身1人前は約80gとされています。サバ・イワシ・カツオは、この注意事項の表に入っていません。授乳中の人と子どもは、この注意事項の対象ではありません(同じ注意事項のQ&Aの問4・問5)。
セレンのサプリを足すときは、とりすぎに注意
ミネラルのセレンは、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で、30〜49歳の女性の推奨量が1日25μg、耐容上限量(習慣的にとっても健康を害さないとされる上限)が1日350μgとされています。妊娠中は推奨量に5μg、授乳中は20μgを足します(食事摂取基準 2025年版の微量ミネラルの章)。医薬基盤・健康・栄養研究所は、とりすぎると爪の変形や脱毛、胃腸の不調などが起こることがあり、必要な量と害が出る量の差が小さいので、サプリメントで安易にとらないよう呼びかけています(「健康食品」の安全性・有効性情報)。
食事摂取基準には、セレノネインをこのセレンの量にどう数えるかは書かれていません。「セレン」と書かれたサプリの多くはセレノメチオニンなど別の形で、セレノネインのサプリではない点にも気をつけてください。
セレノネインのサプリはある?
セレノネインを含むとうたうサプリメントは、今回探した範囲では、エル・エス コーポレーションの「まるごとSABAペプチド」でした。国産のサバを酵素で分解して粉にした原料(サバペプチド)を使った錠剤で、商品ページにセレノネインそのものの量は書かれていません。
| 項目 | 公式の記載 |
|---|---|
| 内容量 | 120粒(1日4粒の目安で30日分) |
| 4粒あたり | セレノネインを含むサバエキス 1,000mg |
| セレノネインの量 | 記載なし(原料は1gあたり1.0μg以上を含む規格) |
| 希望小売価格 | 4,145円 |
| 機能性表示食品 | 商品ページに記載なし |
| 注意 | 原材料にサバ。食物アレルギーのある方は摂取しない |
出典:エル・エス コーポレーション「まるごとSABAペプチド」、同社「セレノネイン」原料のページ。30日分は1日4粒からの計算です。
この原料を使った試験は動物(マウス・ラット)のもので、人で確かめた試験は見つかりませんでした。番組で話題になると「若返り」「アンチエイジング」と書いた商品が増えますが、選ぶときはセレノネインの量が書いてあるか、示している試験が人のものか動物のものかを見るのがおすすめです。編集部としては、まず血合いや缶詰など、ふだんの魚から取り入れるのがよいと考えます。魚が苦手な人や、魚を食べる回数が少ない人の選択肢の1つです。
よくある質問
-
セレノネインは1日どれくらいとればいい?
国の食事摂取基準にも研究にも、1日の目安量は見当たりません。神奈川県の人の試験では、メバチを1回80gまたは120g、週3回食べています(目安量として決められたものではありません。メバチは、妊娠中は1回約80gを週1回までが目安です)。
-
加熱するとセレノネインは減る?
加熱の前と後を比べたデータは見当たりませんが、論文は、削り節からも見つかったことから、100℃ほどの加熱では壊れないと見ています。水に溶けて汁に移るので、煮汁や缶汁ごと食べると無駄が少なくなります。
-
ツナ缶やサバ缶でもとれる?
とれます。論文の測定では、ツナ缶(キハダ)とサバ缶の身はどちらも1kgあたり0.24mg(セレン換算)で、汁のほうが少し多く含まれていました。
-
エルゴチオネインとの違いは?
形がよく似ていて、エルゴチオネインの硫黄の部分がセレンに置き換わったものがセレノネインです。試験管の抗酸化の試験では、セレノネインのほうが約890倍強いと報告されていますが、体の中での働きを比べた人の試験はありません。
-
授乳中や子どもも、マグロを食べていい?
厚生労働省の水銀の注意事項は妊娠中の人が対象で、授乳中の人と子どもは対象ではありません(注意事項のQ&Aの問4・問5)。
この記事について
セレノネインの論文(PubMed・J-STAGE)、水産研究・教育機構の資料、神奈川県、厚生労働省、医薬基盤・健康・栄養研究所の公開資料、番組の公式ページ・公式の動画・TVer の番組説明、商品の公式ページで確かめてまとめました。番組の内容は公式に公開されている範囲で、すべての研究・商品を調べたわけではありません。
この記事は、子育て主婦の若返り日記の編集部(運営:Digital GOAT株式会社)がまとめました。病気の予防や治療の代わりになるものではありません。サイトの運営者は運営者情報、運営会社は運営企業をご覧ください。
論文:Yamashita Y, Yamashita M. J Biol Chem. 2010(セレノネインの発見)、Matsumoto E ほか. J AOAC Int. 2025(魚と加工品の含有量)、Yamashita M ほか. 2013(メチル水銀)、Anan Y ほか. 2011(水銀)、2020(脂肪肝のマウス)、2018(大腸の腫瘍のマウス)、2023(サバの分解物とマウスの疲れ)、総合健診 2026年53巻1号(長距離選手の学会の要旨)
解説:世古卓也「セレノネインの生体抗酸化作用に関する研究」日本水産学会誌 2026、世古卓也「セレノネイン」日本食品科学工学会誌 2025、山下倫明ほか「クロマグロの抗酸化物質セレノネイン―発見の記録」生物工学会誌 2025、水産総合研究センター「抗酸化物質セレノネインの利用に向けた生理活性評価」
公的な基準:厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」・Q&A、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」微量ミネラル、医薬基盤・健康・栄養研究所「セレン」
番組・地域:TVer「カズレーザーと学ぶ。」の番組説明、BSテレ東「いまからサイエンス」、フジテレビ「Mr.サンデー」公式の動画、テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」、エル・エス コーポレーションのお知らせ(2024年10月)・同(2026年10月)、日本商工会議所「マグロの血合肉は「茜身」」
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